料理のキャリアのスタートは日本料理から始めた私は、『この世で素材の個性を一番生かす料理は日本料理だ』
と深く思い込んでいましたが、カリフォルニアのシェパニーズで食べた野菜料理にハッとさせられました。
何気なく食べたトマトの温度は適温で、噛んだ時の瑞々しさと鼻に抜ける青い香り、甘くて酸っぱくて思わず、おいしい!と叫んでしまいました。
日本では、トマトはキンキンに冷やして食べていましたが、実はトマトの美味しさではなく、冷たいから美味しく感じていただけだったんだと気付かされました。
カリフォルニアの野菜は苦くて辛くて刺激的な野菜が多く、日本料理の調理方にただ合わすだけでは美味しくなりませんでした。
カリフォルニアのシェフは食材一つ一つの個性をまず理解し、そこから世界中の調理法の中で最適なものを選び、体が素直に美味しいと思える料理を作っています。
その姿勢に感銘を受け、佐賀に帰りタイマーカリフォルニアキッチンをオープンしました。
幸い、いい生産者に巡り会い、野菜はほぼ100%地元佐賀の野菜を使い料理できるようになっていきましたが、
料理は自分のオリジナルの表現はできておらずカリフォルニアの有名シェフの料理や本などで勉強した料理を知らず知らずのうちに作っていたように思います。
また、ミシュランなど、料理人としての評価などを凄く意識していたように思います。そんな私の大きな転換期が二つありました。
一つは、
有田で行われたDININNG OUT ARITA で世界のトップシェフ『アンドレチャン』氏のチームで5日間共に働いた時のこと。
食材、器、料理、演出、どれをとっても一流で料理器具や道具のどれもをとっても最先端。
初めて触るものや見るものばかりで衝撃を受けました。それまでは自分もトップシェフになりたいと思い頑張ってきたつもりでしたが、
こんなに差を感じたことはありませんでした。目標は努力すれば必ず達成できると思っていましたが『これは無理だ!!』心から思いました。
しかしながらすべてを尊敬できたわけではありません。
このイベントは佐賀県中の有能な生産者の食材を集めてこの時だけの料理を作ります。
そんな生産者の中に、私が普段からお世話になっている方も含まれていました。しかしこのような高級料理のイベントになれば、たいていの場合、野菜、魚、肉のいい部分しか使用せず後は使いません(ゴミにします。)その光景は私にはとても耐えがたいものでした。
このイベントをきっかけにトップシェフになるという目標はきっぱり諦め、食材を無駄なく使う料理人になりたいと思いました。
二つ目は
全国のナチュラルワイン愛飲家との出会い。
カリフォルニア時代からワインは大好きでたくさん飲んでいました。日本に帰り、お店を出すならカリフォルニアワインと当然のように決めていましたが、ワインを一から勉強し知れば知るほど、飲めば飲むほど私の作るナチュラルな料理にカリフォルニアワインは強すぎるように感じてきました。
そんな時、世間では『ビオワイン』という言葉が出回り、いつしかそのようなワインを飲む機会が増えたときに、
『マルセルラピエール』のワインに出会いました。
赤ワインなのに瑞々しく程よい香りと喉越し、そして生き生きとしたフレッシュ感。
カリフォルニアで食べたあのトマトの時の衝撃と綺麗に重なりました。
この瞬間、私の作るカリフォルニア料理にはナチュラルなワインががっちり合う事に気がつきました。
それ以来、カリフォルニアワインが店のリストから消えてしまい、カリフォルニア料理のレストランなのにカリフォルニアワインがないという
少々おかしな事になってしまいました。
ワインの原料はぶどうです。
ナチュラルワインとは、原料であるぶどうの生産をできるだけ農薬を使わずに育てた健康なぶどうに、天然の酵母で発酵させ、醸造したワインの事を言います。カリフォルニア料理とは、近隣のオーガニックの生産者の健康な食材を用い、食材の最適の調理方を選択し料理する事。
整理するとナチュラルな料理にはナチュラルなワインが合いますね。
佐賀でも『佐賀のがばいvinちゃん』というナチュラルワインのイベントを開催しています。
その主催者力久氏のお店『bon sol」にも全国からお客様が来店されます。
各地のナチュラルワインのイベントには全国からナチュラルワインラヴァーがやってきます、
そんなワインを扱うお店の店主同士も頻繁に交流していますから、お互いを認めあっています。
そんな店主の皆さんが共通して大事にしていることが、
『人』と『自然』
ぶどうを育ててる生産者
ワインを醸す醸造家
ワインを売る販売者
ワインを飲むお客様
自然発酵の酵母、月、太陽、空気、そしてすべての命
みんなに感謝して日々を過ごしています。
そんな姿勢は料理にも反映され、食材を大事に扱い、丁寧に料理しています。
だから本当に心も体も美味しくとても安心感があります。そんな全国の仲間が心から好きです。出会えて感謝してます。
タイマーの宿の料理は、蒔き火を熱源にしています。今までひねれば出ていたガスの火とは違い、まず火を起こすことから始まります。
気候に大きく左右され簡単にはつきません。着いたとしても火加減など、常に注意しないと料理が出来ません。
今までみたいにコンロが4口などないため、一度にたくさんの料理も作れません。
ジュサーやハンドミキサーも使えないため簡単に滑らかなピューレなども作れません。簡単に綺麗でオシャレな料理は作れません。
しかし、農家の大事に育てた野菜をとにかく丁寧に大事に大事に料理しています。薪は火力が強いため、中まで火が入り、奥から深い味わいがやってきます。又特有の甘~い香りにうっとりします。毎日酵母で発酵させたパンを焼いていますが、周りが少々焦げていてもなんとも言えない美味しさがあります。そして火の味がします。
今年の暑い夏も毎日火をおこし料理してきましたが、不思議と嫌にはなりませんでした。
火は人間の本能を刺激するのか、色々な感覚を研ぎ澄まし火に向かいます。
便利なコンロとは違い、目の前の料理に、大袈裟かもしれませんが命掛けで向きあっています。
乾物、漬物、コンポート、発酵、畑の新鮮な野菜、冷蔵庫だけに頼らない生きるための料理。
生命がのびのび育つ地球にやさしい正直な料理をつくっていきたいと思います。
そして、有田で二人の生産者との出会いがあり今があります。
土と空のファームの山口さん
川久保農園の川久保さん
出会わなければ、宿で料理を作ることは出来ていませんでした。田舎は生産者との距離が近いのがいいとこです。
交流し、お互いを理解し合い、料理を作っていきたいと思います。
高岡盛志郎
と深く思い込んでいましたが、カリフォルニアのシェパニーズで食べた野菜料理にハッとさせられました。
何気なく食べたトマトの温度は適温で、噛んだ時の瑞々しさと鼻に抜ける青い香り、甘くて酸っぱくて思わず、おいしい!と叫んでしまいました。
日本では、トマトはキンキンに冷やして食べていましたが、実はトマトの美味しさではなく、冷たいから美味しく感じていただけだったんだと気付かされました。
カリフォルニアの野菜は苦くて辛くて刺激的な野菜が多く、日本料理の調理方にただ合わすだけでは美味しくなりませんでした。
カリフォルニアのシェフは食材一つ一つの個性をまず理解し、そこから世界中の調理法の中で最適なものを選び、体が素直に美味しいと思える料理を作っています。
その姿勢に感銘を受け、佐賀に帰りタイマーカリフォルニアキッチンをオープンしました。
幸い、いい生産者に巡り会い、野菜はほぼ100%地元佐賀の野菜を使い料理できるようになっていきましたが、
料理は自分のオリジナルの表現はできておらずカリフォルニアの有名シェフの料理や本などで勉強した料理を知らず知らずのうちに作っていたように思います。
また、ミシュランなど、料理人としての評価などを凄く意識していたように思います。そんな私の大きな転換期が二つありました。
一つは、
有田で行われたDININNG OUT ARITA で世界のトップシェフ『アンドレチャン』氏のチームで5日間共に働いた時のこと。
食材、器、料理、演出、どれをとっても一流で料理器具や道具のどれもをとっても最先端。
初めて触るものや見るものばかりで衝撃を受けました。それまでは自分もトップシェフになりたいと思い頑張ってきたつもりでしたが、
こんなに差を感じたことはありませんでした。目標は努力すれば必ず達成できると思っていましたが『これは無理だ!!』心から思いました。
しかしながらすべてを尊敬できたわけではありません。
このイベントは佐賀県中の有能な生産者の食材を集めてこの時だけの料理を作ります。
そんな生産者の中に、私が普段からお世話になっている方も含まれていました。しかしこのような高級料理のイベントになれば、たいていの場合、野菜、魚、肉のいい部分しか使用せず後は使いません(ゴミにします。)その光景は私にはとても耐えがたいものでした。
このイベントをきっかけにトップシェフになるという目標はきっぱり諦め、食材を無駄なく使う料理人になりたいと思いました。
二つ目は
全国のナチュラルワイン愛飲家との出会い。
カリフォルニア時代からワインは大好きでたくさん飲んでいました。日本に帰り、お店を出すならカリフォルニアワインと当然のように決めていましたが、ワインを一から勉強し知れば知るほど、飲めば飲むほど私の作るナチュラルな料理にカリフォルニアワインは強すぎるように感じてきました。
そんな時、世間では『ビオワイン』という言葉が出回り、いつしかそのようなワインを飲む機会が増えたときに、
『マルセルラピエール』のワインに出会いました。
赤ワインなのに瑞々しく程よい香りと喉越し、そして生き生きとしたフレッシュ感。
カリフォルニアで食べたあのトマトの時の衝撃と綺麗に重なりました。
この瞬間、私の作るカリフォルニア料理にはナチュラルなワインががっちり合う事に気がつきました。
それ以来、カリフォルニアワインが店のリストから消えてしまい、カリフォルニア料理のレストランなのにカリフォルニアワインがないという
少々おかしな事になってしまいました。
ワインの原料はぶどうです。
ナチュラルワインとは、原料であるぶどうの生産をできるだけ農薬を使わずに育てた健康なぶどうに、天然の酵母で発酵させ、醸造したワインの事を言います。カリフォルニア料理とは、近隣のオーガニックの生産者の健康な食材を用い、食材の最適の調理方を選択し料理する事。
整理するとナチュラルな料理にはナチュラルなワインが合いますね。
佐賀でも『佐賀のがばいvinちゃん』というナチュラルワインのイベントを開催しています。
その主催者力久氏のお店『bon sol」にも全国からお客様が来店されます。
各地のナチュラルワインのイベントには全国からナチュラルワインラヴァーがやってきます、
そんなワインを扱うお店の店主同士も頻繁に交流していますから、お互いを認めあっています。
そんな店主の皆さんが共通して大事にしていることが、
『人』と『自然』
ぶどうを育ててる生産者
ワインを醸す醸造家
ワインを売る販売者
ワインを飲むお客様
自然発酵の酵母、月、太陽、空気、そしてすべての命
みんなに感謝して日々を過ごしています。
そんな姿勢は料理にも反映され、食材を大事に扱い、丁寧に料理しています。
だから本当に心も体も美味しくとても安心感があります。そんな全国の仲間が心から好きです。出会えて感謝してます。
タイマーの宿の料理は、蒔き火を熱源にしています。今までひねれば出ていたガスの火とは違い、まず火を起こすことから始まります。
気候に大きく左右され簡単にはつきません。着いたとしても火加減など、常に注意しないと料理が出来ません。
今までみたいにコンロが4口などないため、一度にたくさんの料理も作れません。
ジュサーやハンドミキサーも使えないため簡単に滑らかなピューレなども作れません。簡単に綺麗でオシャレな料理は作れません。
しかし、農家の大事に育てた野菜をとにかく丁寧に大事に大事に料理しています。薪は火力が強いため、中まで火が入り、奥から深い味わいがやってきます。又特有の甘~い香りにうっとりします。毎日酵母で発酵させたパンを焼いていますが、周りが少々焦げていてもなんとも言えない美味しさがあります。そして火の味がします。
今年の暑い夏も毎日火をおこし料理してきましたが、不思議と嫌にはなりませんでした。
火は人間の本能を刺激するのか、色々な感覚を研ぎ澄まし火に向かいます。
便利なコンロとは違い、目の前の料理に、大袈裟かもしれませんが命掛けで向きあっています。
乾物、漬物、コンポート、発酵、畑の新鮮な野菜、冷蔵庫だけに頼らない生きるための料理。
生命がのびのび育つ地球にやさしい正直な料理をつくっていきたいと思います。
そして、有田で二人の生産者との出会いがあり今があります。
土と空のファームの山口さん
川久保農園の川久保さん
出会わなければ、宿で料理を作ることは出来ていませんでした。田舎は生産者との距離が近いのがいいとこです。
交流し、お互いを理解し合い、料理を作っていきたいと思います。
高岡盛志郎